雑記
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――誰もいないなら、涙を流すことに意味なんて無いんだ。
私は下唇をかみ締める。血が鉄の味がするなんて嘘だと思った。こんなにも苦くて、こんなにも甘い。今口をあけたらきっと、舌のあかい色が少し濃くなっているだろう。
――泣かない。絶対に泣かない。
自分の外に向けて泣くのはそれを見て欲しいからだ。傷を知って欲しいから、慰めて欲しいからだ。そんなのは、絶対に嫌だ。
でも、それより更に、独りで泣くのは嫌なのだ。
独りで泣くと、どうしても思考が内側に向いてしまう。自己嫌悪、そしてそう思った自分の自己顕示欲とも言えるものに対する嫌悪感が止まらなくなる。そんな感情がぐるぐるぐるぐる内側で渦巻いて、大抵泣けもせずに夜が明ける。いつも通りの日常を装うために足掻いて、いつもより簡単に怒りの片鱗を覗かせてしまう。
「あ―――いたいた。こんなところにいたんだ?」
「……隗夜」
なんで、こういうときにかぎってかれはくるのか。
「どうせ泣いてないだろうとは思ったけど。自分の顔、鏡に映してみ? 酷い顔してるからさ」
「……うるさい」
「はぁ。――ほら、泣いていいからさ」
溜息を一つ零して、彼は私の肩に腕を回す。額がちょうど肩に当たって、彼に包み込まれるこの温さは、平素だったらとても心地よいものだった。
――今は、どちらかというと突き放したい気分だけど。
「はなして」
「やだ」
「……はなせ」
「やだ。言葉遣い悪いなー」
「……馬鹿」
「ひっどいなー」
「馬鹿阿呆っこの、お人好し」
「最後のだけ褒め言葉として受け取っとくよ」
だから、ないていいからさ。
その柔らかな声に、温かい空気に、絆される。いつもいつもいつも、彼がいると調子がくるってばっかりだ。額を彼の肩口にうずめて、両手は柔らかな抱擁に答えるように彼に背に回った。
ばか。
もう一度呟いて、視界が滲むまえに目を閉じた。
なんかツンデレっ子が書きたくなって……!(お前が一番馬鹿じゃないか。
でも名前がついてない罠。今度考えるよ多分。いやまぁそもそも今度があるか分かんないけど。
隗夜のこういう優しさは人によっては非常に反発したくなるもんだろうなぁ、と思いつつ。
私も、こういうタイプって一番苦手ですけどね(言い切ったっ
だって無抵抗な優しさはむしろ痛いと思うんだ。TPOによっては。
まぁでも久々に甘いのを書けたので良しとします。我が家の連載CPsはどうにもどこかにシリアス具合が残っていていけないのですよ。いやこれもだろーといえなくもないのですが、なんかちょっと違うというか。
連載sの場合だとそもそもの感情がそういう甘さじゃないんですよね。0の二人は家族愛っぽい感じだし、天邪鬼はその名のとおり天邪鬼だし、逆は逆で、まぁ設定の関係上甘くはなりきれない雰囲気が。
そういう意味で想って想われてな感じが一番するのはこれかもしれません。まだこれからも書くとは決めてないけど。
あ、そいえばそのうちシリーズ化する予定のものが二つほど大体まとまってきました。どうだろう。逆かカウントが終わったら書きたいです。とりあえず年内に片方終わらせるのが目標になってきました。もっと言えば来年のそれぞれのシーズン前には両方終わってるとベストかな!(目標は高く、みたいな。