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雑記

急遽移転。色々ごった混ぜの闇鍋状態。本家はhttp://kindlywind.xxxxxxxx.jp/
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013:二度と戻れない、その場所
013:二度と戻れない、その場所


日は暮れて、夜色の空にはかすかに星が散っている。街明かりのせいで今にも消えそうな星を見上げて隗夜は背を丸め、両手をコートのポケットに突っ込んだ。右のポケットに入れておいた小さなカイロはもうほとんどその効能を発揮していないようだが、かじかんだ指で包み込むとかすかなぬくもりが指先を温める。
「寒いな……」
つぶやいた吐息は白く闇に溶けていく。
「遅かったな」
隗夜の足元に歩み寄り、ウェルナスバーグはそう言った。
「ちょっ、ウェイ」
慌てて周りを見回して、人っ子一人見当たらないことを確認してから隗夜はため息をついてしゃがみこんだ。
「お前ね、どうするのさ人に見られたら」
「私をお前と一緒にするな。確認くらいとうにしている」
ふん、と鼻を鳴らしてウェイは優雅に毛づくろいを始める。いかにもやわらかそうな艶やかな黒い毛並みのおかげで、ご近所ですっかり人気のウェイである。最近では隗夜の知らないところでちょくちょく美味しいものをいただいているらしい。本人談によれば。
猫が喋るなんて許されてたまるものか、と最初は思った。けれど残念ながら多少おかしなものに慣れてしまった隗夜にとって、残念ながら受け入れなければならない事実がたまに、そうたまにあるということはまぁ……認めざるをえないことだった。話す狐の霊しかり、現世の人間に縛られた少女しかり。
「隗夜、さっさと手を出せ。私は疲れた」
「……ご立派な足が四本もついているんだから自分で「おい」……わかったよ、ほら」
隗夜が片手を差し出せば軽々と飛び乗って肩に上る。一般的な成猫の体重は約5キロ。成人男性である隗夜といえども乗られて気にならないほどではない。
「ウェイ、体重増えてないか?」
「貴様それはどういう意味だ」
「いや、前より重いような……」
「貴様が軟弱なだけだろう。むしろもう少し肉をつけろ乗りにくい」
「なんでウェイの快適な椅子を作るためだけに俺が体重増やさないといけないんだ……。あ、雪」
視界を小さな白がよぎる。足を止めて空を見上げれば、小さな白い欠片がはらはらと舞い落ちてきた。
「そうか、夜には雪って予報もでてたっけ……。道理で寒いはずだ」
「東洋でも、雪は降るのか」
さきほどより距離の近くなったウェイが、そう懐かしそうにつぶやいた。
「そうか、イギリスはもっと降るもんな」
「ああ……。もっとも、聖誕祭のころには一面の雪だ。年が明けても降らないのだから、もう降らないものと思っていた」
「こっちは降っても少しだけだよ。今日のもこの分じゃ明日にはなくなってるだろうな」
「ああ」
空を見上げるウェイを見やって、隗夜はまた歩き始めた。

「懐かしいのか?」
「なに?」
「イギリス」
横顔を見つめる赤い瞳と目を合わせ、隗夜は尋ねる。
「懐かしい……そうだな、懐かしい」
舞い落ちる雪にもう一度目を向け、そのままウェイは語りだした。
「イギリスは懐かしい。友が―大切な友が、眠る土地だからな」
「……前に、豊さんに頼んでた人か」
「ああ。あれはバカな男だった―だが、良い奴ではあった」
「あの時の乱闘ってのはなんだったんだ?」
「貴様は聖遺物を知っているか?」
「キリストの遺品、だったっけ。けどあれ、本物なんてあるのか? 偽物だらけって話だろ」
「ああ、それも事実だ。だが中世以来誰もがそれを求めていた。西洋ではな」
「その辺は宗教的な違いか……」
「だろうな。そして聖遺物は魔術師の間ではさらに価値が跳ね上がるのさ」
「霊験あらかた、ってわけか」
「そんなところだ。その一つが見つかった、という話が出た」
「話だけってことは、結局……」
「偽物だったらしい、と聞いた。けれどそんなことはあの時は分かっていなかったからな」
「そんなもののために、争うのか」
「魔術師たちにはそんな風にいえるものではないのさ。」
「……そっか」

分からない世界だ。術を使う側には入らないと、術師になるという道を捨てた自分には。きっとその世界にはその世界の流儀があり、考え方があるのだろう。
「帰り、たいのか」
空を見上げ続ける黒猫に、そう声をかけた。雪の向こうに、赤い瞳は何を見ているのか。
「さて、な。バカの置き土産のおかげで私は帰れない」
「そうだな……」
どうしようもできないよ、と首を振った豊の姿が脳裏によみがえる。例え普通に、まっとうな交通機関を通しても、あの地を踏むことはできないだろうと。
「けれどな」
「うん?」


「こちらでも雪が降るのなら……、こちらも、悪くはないだろう」
「……かもな」
空を見上げる赤い瞳を追うように、一人と一匹で空を見上げて。
落ちてくる雪を、ただ眺めた。
その先にある、何処かを。



ひさしぶりすぎてぶんしょうをかくことがいちばんむずかしかったです。
隗夜がむずいとかウェイさん一人称なんだっけとかいう問題じゃない。
根本的に文章が書けない。
うわーん。
でも書きたいんだよー。

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無題
 苛々する。

それはまるでどこかにネジを落としてきたかのような感覚。ほんの少しだけの違和感。拭おうとしても拭い去れない、感じてしまう小さなほころび。
ぎしりぎしりとかみ合わない歯車が軋む。
ネジはどこにいった。スペアはどこだろう。ボルトとナットとレンチにハンマー。手になじんだそれらの道具も見つからなかった。苛々する。どこに置き忘れたのだろう。 
落ち着かない。空っぽの手のひら、薄すぎる洋服、軽すぎるベルト。
何もないてのひらを開いてみて、それから閉じてみる。ふと手をやったベルトにいつもつるしていた道具類はない。無意識にやった手は空をつかんだ。

どこにいった。どこへやった。どこにわすれた。

苛々する。

かつり、と足音の聞こえた方を目でたどる。
黒い安全靴を履いた足。黒ずくめの服装。長すぎる黒い髪。

「似合わないよ、その顔は」

そうかい、と彼はいつものようににぃ、と笑った。 

(私の物を返せ)(返したらいなくなるだろう?)(当然だ!)
Lost Piece
なくしてみつけて、また亡くした。




一言でいうなら気分というか気まぐれというか。
多分レンチが出てるのはこないだバッカーノ読んだからじゃないかなぁ。グラハム好きっていうか可愛いし。愛すべきバカ、みたいな……?
黒いのはチェシャ猫イメージのお兄さんで女の人がアリスということで。もしくはクイーン。まぁあんまり関係はない。あ、でもそれでいくと歪アリっぽいなぁとちょっと思った。まったく意図はしていなかったけれど。
涙の理由


――誰もいないなら、涙を流すことに意味なんて無いんだ。

 私は下唇をかみ締める。血が鉄の味がするなんて嘘だと思った。こんなにも苦くて、こんなにも甘い。今口をあけたらきっと、舌のあかい色が少し濃くなっているだろう。

――泣かない。絶対に泣かない。

 自分の外に向けて泣くのはそれを見て欲しいからだ。傷を知って欲しいから、慰めて欲しいからだ。そんなのは、絶対に嫌だ。
 でも、それより更に、独りで泣くのは嫌なのだ。
 独りで泣くと、どうしても思考が内側に向いてしまう。自己嫌悪、そしてそう思った自分の自己顕示欲とも言えるものに対する嫌悪感が止まらなくなる。そんな感情がぐるぐるぐるぐる内側で渦巻いて、大抵泣けもせずに夜が明ける。いつも通りの日常を装うために足掻いて、いつもより簡単に怒りの片鱗を覗かせてしまう。

「あ―――いたいた。こんなところにいたんだ?」
「……隗夜」
 なんで、こういうときにかぎってかれはくるのか。
「どうせ泣いてないだろうとは思ったけど。自分の顔、鏡に映してみ? 酷い顔してるからさ」
「……うるさい」
「はぁ。――ほら、泣いていいからさ」
 溜息を一つ零して、彼は私の肩に腕を回す。額がちょうど肩に当たって、彼に包み込まれるこの温さは、平素だったらとても心地よいものだった。

――今は、どちらかというと突き放したい気分だけど。
「はなして」
「やだ」
「……はなせ」
「やだ。言葉遣い悪いなー」
「……馬鹿」
「ひっどいなー」
「馬鹿阿呆っこの、お人好し」
「最後のだけ褒め言葉として受け取っとくよ」
 だから、ないていいからさ。
 その柔らかな声に、温かい空気に、絆される。いつもいつもいつも、彼がいると調子がくるってばっかりだ。額を彼の肩口にうずめて、両手は柔らかな抱擁に答えるように彼に背に回った。
 ばか。
 もう一度呟いて、視界が滲むまえに目を閉じた。
 



なんかツンデレっ子が書きたくなって……!(お前が一番馬鹿じゃないか。
でも名前がついてない罠。今度考えるよ多分。いやまぁそもそも今度があるか分かんないけど。
隗夜のこういう優しさは人によっては非常に反発したくなるもんだろうなぁ、と思いつつ。
私も、こういうタイプって一番苦手ですけどね(言い切ったっ
だって無抵抗な優しさはむしろ痛いと思うんだ。TPOによっては。
まぁでも久々に甘いのを書けたので良しとします。我が家の連載CPsはどうにもどこかにシリアス具合が残っていていけないのですよ。いやこれもだろーといえなくもないのですが、なんかちょっと違うというか。
連載sの場合だとそもそもの感情がそういう甘さじゃないんですよね。0の二人は家族愛っぽい感じだし、天邪鬼はその名のとおり天邪鬼だし、逆は逆で、まぁ設定の関係上甘くはなりきれない雰囲気が。
そういう意味で想って想われてな感じが一番するのはこれかもしれません。まだこれからも書くとは決めてないけど。
あ、そいえばそのうちシリーズ化する予定のものが二つほど大体まとまってきました。どうだろう。逆かカウントが終わったら書きたいです。とりあえず年内に片方終わらせるのが目標になってきました。もっと言えば来年のそれぞれのシーズン前には両方終わってるとベストかな!(目標は高く、みたいな。
書いてしまった。

「今日、かみさまを失くしました。」

 彼にとって僕に出会ったのはただの偶然だったのだろう。世界の渡り人に巡り合ったというあまりの幸福に、僕は有頂天になってしまった。
彼に出会うまで、僕は「神」という存在を信じたことは無かった。その概念に値する存在を知らなかったからだ。知らないものは僕にとって、否、僕らのような真理を追究するものたちにとってはイコール無いものだった。
 だから彼との出会いは僕の世界を変えた。あれ以上に衝撃的にも世界が塗り替えられていく瞬間を味わうことは、もう二度とないだろう。一度鮮烈な光を覚えてしまうと、他のものは一気に色褪せてしまう。
 初めて神に値するものをに出会い、僕はただ盲目的に信仰した。彼の存在が僕の幸福となり、彼の惑いは僕の不幸となった。
 いつか終わる夢とどこかで分かってはいながら、僕は信じ続けていた。
 彼が存在する限り、僕の幸福に限りは無いのだと。
 彼の喪失の時が僕の幸福な時間の終焉だと知りながら、それでも僕はただ盲目的に、信じていた。――この時の、永遠を。

 サリエル・S・シャイターン

 彼が僕にたった一つ伝えた彼自身の名前。渡り人の性なのか、それともただの気まぐれか、他のことは何一つ教えてくれなかった。

 その名を呟いて。
 せめて行く前に教えて欲しかったと思うのだ。唯一つの言葉で、良かったのだから。

 かみさま、失われたものは戻るのでしょうか。


サーちゃんってばフライング!(←一言も話してないですけどね。
やー、今徹夜? というか先に2時間仮眠とってかぶっ続けで勉強して外が明るくなった午前6時なのですが、ちょっと思いついたら止まらなくて。
サリエル・S・シャイターン
サリエルは熾天使の一人で、別名「神の命令」。人の霊魂が罪を犯さないように見張る役割を持っていましたがのちに人に月の運行に関わる秘密を教えたために堕天させられたといいます。
で、SはSeraph、つまりまんま熾天使の略。
シャイターンはアラブの妖怪の位の一つです。イフリートの下、ジンの上の位になりますね。
で、イニシャルするとS.S.Sなのですよ。微妙なこだわり(笑
まぁサーちゃん本格的に書けるようになるのはまだまだ先になりそうですが。
とりあえず勉強に帰ります。
 
P.S 一応釈明というか弁明しておきますと、この話はかみさまの話じゃありません。
サリエルはTPOによってキャラが変わる万華鏡なのでこの錬金術師には神に見えましたが他の人が見ると悪魔だったり腹黒だったり極悪人だったりボケだったりたまに天使だったりします。
間違ってもサリエル=神様ではありません。
シリーズ名つけるなら絶対にkaleidoscopeにします。

夢見るくじら

青い空に雲が一つ。
――きれい、だなぁ
ボクはいつも硝子ごしに外をながめている。


硝子の世界


ボクの世界は部屋の中とボクの置かれた窓際から見えるところだけ。だってボクは動けない硝子のくじらだから。でも外の世界のことだって知っている。
世界のことは他の人形たちや、ぬいぐるみたちが少しずつ教えてくれた。ボクは外にいたのはほんの少しの間だったから、何も知らないけど、他のところにいたみんなは色んな場所のことを知っている。

窓から見える空はとってもきれいだ。
青くて透き通っている。ボクと同じ青色なのに、ボクの青とは違って、きらきらしてる。同じ青なのに、どうしてこんなにも違うんだろう。
他のみんなは外の世界にはもっと色んな種類の青があって、色だけじゃなくてもっともっとボクが見たことのないものがあるんだって言ってる。
そういうもの全ての話を聞いているだけでいつも時間がかかってしまうんだから、きっともしボクがこの部屋から出れても世界の全部を見ることなんてできないと思う。
すてきなものがたくさんありすぎて、全部見ていたらどれだけ時間があっても足りないんだろう。

――でも、ボク、出れなくてもいいなぁ

ここでみんなの話を聞くのだって、もう十分楽しいんだ。窓から差し込む光がきれいで、窓の外の空も雲もきれいで、楽しいからもういいんだ。


でもほんの少し。
――あのきれいな空を、飛んでみたい。

硝子の世界から外をながめて、
ボクは今日も夢を見る。





だから、こんなことをしている場合ではないというのに……!
ああ。書いてしまった……
当然くじらのフレンズも後々でてきますとも、えぇ。
実際結構部屋にいたりします。くじらはいないけど(え
ミニーが一匹にくまが一匹にクリスマス仕様の犬。らへんがぬいぐるみで、他に子犬の陶器の小さい置物と、ゆきだるまくんとうさぎのくっついてるほんわかした置物と。
だって小物好きなんですよ。

はー。さぁじゃあ私、これの続きじゃなくてちゃんとレポート書こう……!

 

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暇じゃないはずなのに書き続ける物書きもどき。結構長くやっている割に上達しないという。
時々テンションが高く、可笑しくなっていることがあるが放置すべし。
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本:京極夏彦、西尾維新、はやみねかおる、他
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